I shallplease:
「隙あらば、ダイナマイトぶっ放してる奴が、ザマ無ぇな。」
「・・・うるせぇ。」
いつもならもっと噛みついてくるであろうガキにも、今日はその勢いは皆無だ。
ベッドに腰掛けて不貞腐れているガキの顔は熱に浮かされてか、赤みを帯びていた。
「俺は女しか診ねぇんだ。何度言ったら分かる。さっさとこの神聖なる保健室から出てけ。」
「薬渡したら出てくつってんだろ、このスケコマシ。」
「たかが、風邪だろうが。放っときゃ治る。」
「今すぐに治さなきゃなんねぇんだよ!じゃなきゃオレだって、たかが風邪くらいでわざわざこんなトコ来るかよ。」
「じゃあ、とっとと帰って寝ろ。それが一番だ。」
「・・・しょーがねぇんだよ。頭痛ぇーし、ふらふらするし、こんなんじゃ10代目をお守り出来ねぇよ。だから、薬くれ。なるべくすぐ効くやつ。」
今、このガキ―――隼人の全てはボンゴレの10代目を中心に回っているらしい。
コイツは、他人の事を守ると言いながら、自分の身体の事には気遣いの欠片も無い。
そんなコイツが俺に薬を出せと言ってくる辺り、相当ツライのか、今の状態がどうしようもなく情けなくなっちまったのか。
「そんな都合のいいもんはねぇよ。」
ボスに向けるひたむきな忠実さは悪くない。
ただ、コイツの場合、もっと大事にしなきゃいけねぇモンがあることを知る必要がある。
「なら、せめて痛み止・・・」
なおも、薬をせがむ口に顔を近づける。
いきなりの事に吃驚した目が呆然とオレを見ていた。
「・・・な、何だよ?」
「黙ってな。」
いつも持ち歩いているピルケースからオレンジ色のカプセルを一錠取り出して口に銜える。
「コイツはよく効くぜ?ま、違う意味で吹っ飛んじまうかもしれねぇけどな?」
「何だよ、それ?俺は風邪薬をくれっ・・・」
さらに顔を近づけて、舌で隼人の口にそっと押し込むと、吐き出せないように、すぐさまペットボトルの水を口に含んで、
隼人の顎を指で押し上げて、唇を覆うように口付けて一気に流し込んでやる。
「けほっ・・・けほ・・・・っ・・・」
いきなり飲み込まされた水に噎せ、ほんの少し目を潤ませて、隼人は俺を睨み付けた。
「・・・な、何しやがる、てめー!」
「く・す・り。・・・欲しかったんだろ??」
「女にしか興味ねぇ癖に、こんな・・・ちっ・・・」
「こんな、何??」
「知るか。死ね、変態!」
口元を手の甲で拭いながら、悪態を吐く様はまさにお子様だ。なのに、コイツに素直に頭を撫でられて喜ぶ可愛気は無い。
もうちっと可愛くてもいいんだがな。そしたら、甘やかしてやってもいいのに。
「可愛い女の子なら、もっとディープな治療を徹底的にしちゃうけどな〜vv」
「ふざけんな、この女タラシが!!」
「さっそく威勢が戻ったみてぇだな。即効性の薬って訳じゃないんだが。」
「・・・そういえば・・・ちょっと楽になったかも?」
単純なガキだ。
思惑通り、衝撃で風邪で滅入った気持ちは吹っ飛んじまったらしい。
「・・・た。」
「た?」
「・・・た、助かったよ。借りはいつか返す。」
訂正。・・・ちったぁ可愛いとこもあるじゃねぇか。
どうやら素直じゃない訳でもないらしい。ただかなりの照れ屋なだけ。
まぁ・・・そんなことは前から分かっていたけどな。
「バーカ。」
「何だと、てめー!」
「さっきの薬はただのビタミン剤だよ。風邪には効かねぇ。」
「え?だって、オレ・・・て、てめー、騙したのか??」
「ま、良くなったんならいいんじゃねぇか。」
借りなんていらねぇから、早く帰って、寝ろ。
今のお前じゃ苛め甲斐ねぇから。
「・・・帰る。てめーを当てにしたオレがバカだった。あーもう、寝てやる!」
「そうしろ、そうしろ。どうせ明日にはすっかり治ってるだろうよ。」
「・・・治ってなかったら、今度はちゃんと薬出せよ、ヤブ。」
乱暴にドアを開け、隼人は走って出ていった。
どうやらガキはまだ懲りてないようだ。
「何度来ても、同じだ。俺は女しか診ねーよ。バーカ。」
他人を守るつもりなら、風邪くらいは自分でなんとか出来ねぇとな。
いつか俺がお前を助けてやるとしたら、それは・・・本当に使い物にならねぇくらいにどうにもならなくなった時だけだから。
★後書き★
プラシーボ効果の話にしたかったんですけど、なんか分かりづらくなっちゃいましたorz
シャマルをカッコよく!と思って書きましたが、いかがでしょう??偽造もいいとこですね(笑)最近、シャマルがカッコよく見えてしょうがないもんで。
シャマ獄派の方で読んで下さる心の広い方はいるかな〜。(ドキドキ)宜しければ感想お待ちしてます(笑)
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