延長線:序章


<side.m>

「なあ・・・藍。・・・お、俺な・・・・お前のこと・・・・す・・・・」

「みなみ、俺らずっと、最高の親友だよな。」



俺の言葉を見透かしたように、藍はそう言った。

好きという言葉で始まる延長線を引くことを藍は許さなかったんだ。



「・・・うん。」



俺の好きな人は、幼馴染みで親友の藍。

その関係すら失ってしまうことは怖い。



その時、俺が言えたのは、ただ、それだけ。

そこから先に続くものは、在りはしない。




<登場人物>

○椎名水深(しいな みなみ)
大学1年生(18)年齢の割に幼く、中性的な顔つき。人懐っこく、友達が多い。一人っ子で、甘やかされて育ったため、少々言葉遣いが乱暴でガサツ。藍とは幼馴染みで、兄弟のような存在。今は親友だが、特別な感情を抱いている。

○谷崎藍(たにざき あい)
大学1年生(19)外見からは大人びた近寄りがたい雰囲気が漂うが、実は温和で優しく、面倒見のいい性格をしている。同い年ではあるが、子どもっぽさの抜けない水深を弟のように、心配している。誠実がゆえに少々、神経質な部分がある。

○谷崎純(たにざき あつし)
大学3年生(20)藍の兄。藍よりも饒舌で自由奔放。曲がったことが嫌いな藍とは対照的に、真っ直ぐ歩くより、寄り道をして、なんでも楽しもうとするタイプ。実弟の藍はもちろん、幼い頃から自分を慕ってくる水深も本当の弟のように可愛がっている。

○河邑大地(かわむら だいち)
大学1年生(18)水深と同じ学部で仲がいい。大学のために大阪から上京した。上京した理由は他にもあり、そのことで、水深のよき理解者になる。明るく、活発。しかし、一人が怖い寂しがり屋な面も。


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